2005年12月24日
倉橋由美子訳『星の王子様』
[ 本 ]
風邪をひきました。冷蔵庫の中身をかき集めてポトフを作って先日作ったパンを解凍して昼ごはんをたべ、ふとんを被って寝てます。冷凍庫にパンがいっぱいあるし、冷蔵庫にも食材いろいろあるので買い物には行かずにすむのがありがたいですよ。さっきつくったポトフで夜ご飯も間に合いそう。風邪引いて熱があろうと、食欲はあるんだな。
布団で読もうとして、次の本を枕元に積んでいます。
技術書は全くあたまにはいらんです。その上重くてふとんの中では読みにくい。そういうわけで『星の王子様』を読んでいます。
『星の王子様』は岩波から出ている内藤濯訳も愛読していました。著作権切れに伴いいくつか新訳が出ています。その中で一番気になっていた倉橋由美子訳をようやく購入しました。
読んでみると倉橋訳は内藤訳とは大きく文体が違います。ふたつほど例をあげましょう。
内藤濯訳:
ぼくのかいたのは、ぼうしではありません。ゾウをこなしているウワバミの絵でした。
倉橋由美子訳:
私が描いたのは帽子ではない。象を消化している大蛇の絵だった。
内藤濯訳:
夜になっていました。ぼくは、しごと道具を手放していました。カナヅチも、ボールトも、目にうつらなかったし、のどがかわいても、死ぬ思いをしても、そんなことは、どうでもよいことでした。
倉橋由美子訳:
夜になった。私は道具を投げ出した。ハンマーやボルトや喉が渇いて死にそうなことなど、もうどうでもよかった。
倉橋由美子訳、ハードボイルドです:D
わたしはどちらの翻訳もよい翻訳だと思っているので優劣の比較をするつもりはないですよ。文体がこれほど違うにもかかわらず、読んで受ける印象はほとんど変わらないように思います。
本書には倉橋由美子のあとがきがついています。倉橋由美子が『星の王子様』をどのように読んだかがよく分かります。こういう解釈もありだな、とは思いますが、『星の王子様』を初めて読むひとが先に「あとがき」を読んでしまうと先入観を持ってしまうかもしれません。
池澤夏樹訳も読んでみるべきだろうか。悩みます。
またひと寝入りします。おやすみなさい。
トラックバック
トラックバックURL: http://www.skoji.jp/mtbin/mt-tb.cgi/414




『星の王子さま』は原文で読んだのが10年以上前のことでして、その時の記憶を思ひ起こすと、倉橋訳のはうがフランス語の原文の雰囲気を出してゐる感じがします。原文でいくつか読んだ管見に過ぎませんが、サン=テグジュペリにしてもカミュにしても、20世紀のフランスの作家の文章は非常に素つ気ない感じです。まあ、さうでない作家も居るのかも知れませんが。
投稿者 若旦那 : 2005年12月25日 20:35
若旦那> 原文の印象に近いのですね。なるほど。
わたしは英語の勉強目的で英訳を読んだことがあるのですが、それもシンプルな文章だった記憶があります。
投稿者 こじま : 2005年12月25日 20:45
「星の王子様」は、色々な翻訳の中で、倉橋由美子さんも出してたんですね。池澤さんが出していたのは知っていたのですが。。
『ソフトウェアの…』は2年くらい前に買いました。つまみ食いして所々読んで、これまた積ん読状態です。。。。いけませんねえ。積ん読一掃を2006年は目標の一つにしたい。(英語ものは手を出しません、私^^;)
投稿者 momo : 2005年12月25日 23:36
はじめまして。通りすがりのものですが、私も星の王子様が大好きで、この夏に何冊か読み比べをしたので、足跡を残します。
内藤訳は賛否両論あるようですが、私はとても好きでした。幾度読んでも涙が出ます。倉橋訳のは、内藤訳でわかりにくかったところがわかりましたが、涙は出ませんでした。池澤訳は言葉が子供にも読みやすいでしょう。涙が出ました。
いろんな訳が出てきて楽しいし、嬉しく思いますが、私個人としては「涙を流させる何か」を掬い取っている訳が好きだなぁと思います。
池澤訳も是非読んでみてください。
突然すみませんでした。お風邪、どうぞお大事に。またお邪魔しますね。
投稿者 はにゅ~ : 2005年12月26日 01:28
momoさん> わたしも積読解消を目標にしたいです...。「ソフトウェアテスト」の本は飽きますねー。
投稿者 こじま : 2005年12月27日 08:02
はにゅ~さま> はじめまして。
なるほど、池澤訳はまた違うのですね。これは読んで見なければ、という気になりました。ありがとうございます。
やはり好みってありますよね。いろいろな訳から選べる翻訳書ってほとんどありませんが、選択できるのはいいことかもしれませんね。
投稿者 こじま : 2005年12月27日 08:03
星の王子様は、フランスに行った時に色々可愛い物を買ってきたような記憶しかないわ。
こじたんがここに書いてくれてる比較を読むだけだったら、
なんとなく内藤濯訳の方が、子供がとっつきやすいような
感じがしますね。
年だけ食って、まだまだあたしは子供っぽいので
内藤濯訳の方から読むとしますよ。
投稿者 sato-ice : 2005年12月27日 09:49
"「ソフトウェアテスト」の本は飽きますねー。"うう、やっぱりそうですよねーー、私だけかとチョット罪の意識にさいなまれておりましたので、なんとありがたいお言葉。どこから拾い読みしてもいいというけど。。。。
「星の王子様」は小学校低学年の時に読んだ記憶があるのです。。。と言っても、(深いレベルでなくても、浅いレベルでも)ちゃんとは分かっていなかったのだと思います。何だかよく分からなかった記憶があるので。
何が言いたかったかというと、少なくとも、そのくらいの子でもなんとか読めるくらいの文体であり、言葉遣いだったのだと思うのです。内藤さんは、ずいぶんそのこと---小さい読者のこと---をも意識して翻訳なさったのではないかと、思っています。
再読してみようかな。(実は子供向けと言われの本を読むのを最近密かな楽しみの一つにしています。よいものは年齢を選ばないですよね)
投稿者 momo : 2005年12月28日 00:24
satoちゃん> 倉橋さんはあとがきで、星の王子さまは子供向けの本じゃない、というようなことをいっているんだよ。だからこういう文体になったのだろうと思うよ。
投稿者 こじま : 2005年12月29日 22:07
momoさん> 飽きるものはしかたがないかと思います(笑)
内藤さんは子供を意識して訳しているようですね。立ち読みしてみたところ、池澤夏樹訳も子供を意識しているようでした。
子供向けだけど大人も楽しめる本ってけっこうありますよね。わたしは最近ムーミンを一気読みしました。
投稿者 こじま : 2005年12月29日 22:09